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外に出てみよう【南塘だより】

 2月22日に発行された南塘だより112号のコラム[先憂後楽]において花田教授による寄稿記事「外に出てみよう」が掲載されましたので転載いたします。

❝これまで先憂後楽の師に恵まれ,いろいろなところを訪れる機会をもらってきた。実際に行って一緒に行動して感じ取ることが重要である。奥村前循環器内科教授には循環器センター構想のため,熊本済生会病院,東京女子医大に,アメリカ心臓病協会(AHA)学会中には米国の循環器専門病院を訪れて,すべての病床をICU転用できるシステムと,教育専用棟( 毎日BLS,ACLSなどが行われている)を見学してきた。救命センター発足時には帝京大救命救急センターで2週間一緒に診療させていただいた。ハイボリュームセンターでの実際を体験できたことはその後青森県で救急医療に携わる上で大いに役立っている。今年度浅利前救急教授がおられる北里大学に,救命センターの職員を交代で派遣して,他センターでの診療の実際を体験し,自分たちのレベルも感じてもらい,弘前での救急診療に役立ててもらっている。
 昨年は緊急被ばく医療関連で台湾の救急医療に触れる機会に恵まれた。台湾には4基の原発(3基が稼働中)があり,高雄医科大学病院中和医院,台北医学大学,林口長康記念病院を訪問し,現地の被ばく医療体制を学ぶと同時にこちらからは,実際に被ばく医療に携わった経験について講演した。この過程で台湾の厚労省と救命センターを見学する機会があり,台湾で始まった救急システムに驚くこととなった。日本では救急医療情報の共有のため,企業が提供するアプリケーションを使って,救急現場から写真情報を送ったり,心電図を送ったりすることが始まったばかりである。一般的には情報は電話で伝えられる。一方台湾では救急車内の患者モニターの血圧などのバイタル情報,心電図が病院にダイレクトにつながっていた。患者の6ヶ月以内の医療情報(受診歴,薬,カルテ内容も)が医師のIDで受診前に閲覧可能であった。救急記録もそのままオンラインで医師,家族,救命士のサインが行われて保存される(日本では救急隊が搬送後複写の紙に記入して医師がサインしている)。これらは電子カルテが統一され,国民皆保険の保険カードに全ての情報が一元化されていることが大きい。診療情報は逐一厚労省が把握できるため,どの地域にどんな疾病や傷病の偏りがあるかが常に監視されており,感染症のみならず災害発生も随時把握されている。日本でマイナンバーカードが今回の能登半島地震でも個人識別にさえ使えていないのとは雲泥の差である。附属病院では全ての職種で外国を含めていろいろな施設を訪れて自分たちの診療に活かそうという動きが始まった。いろいろな機会を活かして他施設や他の国から刺激を受けて,よりよい診療に活かしたいと願っている。❞

 また、同紙巻末には昨年10月に開催された本町地区総合防災訓練の様子も紹介されていました。本HPの記事も合わせてご覧ください→コチラ

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