中山先生の【研修手記】北里大学病院 救命救急・災害医療センターに引き続きまして、奈良岡先生の東海大学高度救命救急センター見学体験記をお送りします。実は奈良岡先生、中山先生に引き続き北里大学救命救急センターへ見学に行っておりまして当HP用の記事も書いてもらっていたのですが、中山先生の記事と丸かぶりかつ長い割に内容が薄かったため「北里見学記」はザックリ割愛させて頂きました。中山先生の記事を読んで下さい。北里大学に比べ、東海大学高度救命救急センターではドクヘリを運用しているところが大きく異なります。では、奈良岡先生よろしくお願いします。
以前、弘前でご講演いただいた本多ゆみえ先生に口添え頂いて本年7月下旬、東海大学医学部附属病院 高度救命救急センターを見学することができました!飲み会の席での無茶なお願いに快く応じて頂き誠にありがとうございました。ダメもとでも言ってみるものですが呑み過ぎには気をつけましょう。
さて東海大学高度救命救急センターは、神奈川県の中央(伊勢原市)に位置しておりカバー人口は約200万人!度々高度救命救急センターとして全国1位に輝いていますスゴい。一度は日本一の高度救命救急センターを見学したいと思ってたんですよ実際どうなの?と。
その特徴は東海救急HPの「私たちの10の自慢」が分かりやすいです。その中で個人的に見学したかった点を抜粋しますと、以下のようになります。
1.圧倒的な症例数
「日本でもトップレベルの症例数が経験できます。一般救急疾患から外傷、中毒、敗血症、熱傷、特殊感染症など多くの症例を短期間で習得できます。一人前の救急医になる近道です」
→本当に多数の症例が来てました。日本テレビ?かどこかの密着取材班がずーっと撮影してましたがスタッフの皆様は慣れたもので非常にナチュラルに取材されて解説してました。密着取材は1〜2ヶ月間毎日だそうです編集大変ですね。
医師は3グループの当番制、コロナ感染などで欠員あり大変そうでしたがシフトしっかり回ってました。病床も救急受け6ベッドから入院50〜60床?および特殊病床まで看護師150人以上でシフトを敷いており、もう、救命救急センターだけで一つの中規模病院の様相でした。
3.女性医師が活躍できる
「私たちの医局には多くの女性医師が在籍しています。その多くは、結婚・出産・子育てをしながら、救急医療の一線で活躍しています。私たちには女性医師を理解する環境があります。」
→ママさん救急医の先生方と雑談できまして、ライフワークバランスを上手く保って仕事されてました。キラキラしてましたなぁ(遠い目)。先生方本人の頑張りと周囲の先生・スタッフ方の理解協力、そしてそれらを支える圧倒的なマンパワー。医局長が「これでも人足りないんだよね〜」って仰ってましたが、東海で足りないんだったら弘前はどんだけ(以下自粛)。
4.ドクターヘリのパイオニア
「私たちは1999年に日本発で試行的事業として開始したドクターヘリを運航してきました。どこよりも多くの命を助け、多くの経験をしてきています。是非、この環境を受け継いでほしい。」
→まさにパイオニアです。辻先生(医局長)に色々と教えて頂きましたありがとうございました。というか、辻先生がDoctor Heli レジストリの集計やってました。ドクヘリ飛んだら入力するヤツです。元締めの先生が目の前にいましたビックリです。曰く、「青森は県病のヘリに乗ってるの?齋藤(兄治)先生元気?前に呑んだよ〜」覚えてらっしゃる…「レジストリの集計大変なんだよね〜」そりゃそうでしょうお疲れ様です。ちょっとここには書けないことも伺いましたが本格的な研修に行ったらさぞかし楽しいだろうなと思いました。
ちなみに私、たった数日間の見学にも関わらず、守田教授にお声掛け頂き「東海大学ドクターヘリ医療要員講習会」を受講することができました!守田教授ありがとうございます!講習会はあくまで研修医の先生方の受講がメインで、先生ついでにどう?くらいのノリだったのですがラッキーでしたありがたいことです。
講習の最後には小テストもありまして無事合格、修了証を頂きました。晴れて神奈川県でドクヘリに乗れます!講習で頂いた神奈川県のドクヘリ運用の資料がとても勉強になりました。「消防隊に数字のコールサインあるのか…あ、救急車多すぎるから間違い防止かなるほど~」などなどこの資料貴重です…
とはいえ、「うーん修了証嬉しいけど数日間の短い見学だし乗る機会なんて無い無い」とか思ってましたら!
「北里の救命センターまでドクヘリで転院搬送行くけど先生OJTシート乗る?」
乗ります!
という感じで、つい先日まで見学していた北里大学病院の屋上ヘリポートに降り立ち、出迎えの北里救命センターの先生方に爆笑されましたお前は何をやっているのかと。まぁ北里での見学中は運悪く?あまりドクターカー出動なく、ヘリポートでの急患受けも1件もなかったので変なめぐり合わせだなぁと感慨もひとしおです。で、搭乗後はしっかり酔いました。
6.陸地だけでない!洋上救急
「私たちが目標としているのは陸地だけではありません。海上には多くの人たちが働いています。船上で怪我したり、病気になったり。そんな人たちを無視するわけにはいきません。海上保安庁や自衛隊などと協力して海の上で働いている人も助けに行きます。」
→これも東海を見学したかった理由の一つです。東海大学高度救命救急センターは、実に硫黄島を超えて南鳥島から青森県の太平洋側までの海域の洋上救急を担っています。
年平均5件程度とはいえ、US-2に乗って遥か太平洋の彼方に救助に行くのは浪漫があります浪漫飛行。さすがにUS-2に乗る機会は有りませんでしたが、上畠先生から実際に乗った経験も含めてスライド講義頂きました!
上畠先生が実際に行った南鳥島近海での救助の場合、まず岩国基地からUS-2が飛んできて、朝3-4時?夜明け前に厚木基地を出発して硫黄島で給油、現地で着水して救助(というか自衛隊の方がボートで寄せて乗り込み)、この間とんでもなく揺れる揺れるなどなどお話を伺い、もうUS-2に乗った気分になれました。ぶっちゃけ帰りは(硫黄島など中継地から)固定翼機で帰れた方がラク、など身も蓋もないことも聞けました。それでも一度はUS-2乗ってみたいです。
短い期間の見学でしたが、濃密な経験ができたと思います。症例も色々みることができまして色々書きたいのですが、あまり実症例の詳細は書けません。個人的に印象深かったのは、扇風機と霧吹きが大活躍していたことでした。折しも7月下旬、重症熱中症がバンバン搬送されてきておりましたが救急外来6ベッド全てに扇風機が配備されていました。アナログ技術と言うなかれ、確かにサーモガードより手っ取り早くかつ効果的だった印象がありました。あまたの医療従事者の蛮用にも耐え…って見てたら一台壊してましたけどね。弘前に戻ってから「扇風機買って!」って言ったら予算なく却下されました。来年は安めの扇風機買って寄付しようと思います。
見学の最後に、本多先生からは「半年でも一年でもいいから研修においでよ!」とありがたいお言葉を頂きました。もう少し若ければ行きたかったなぁもう年寄りです。若くてこれからの専攻医の先生方いかがですか?非常にオススメです。中川教授・守田教授、本多先生、上畠先生ほか沢山の先生方にお世話になりました。誠にありがとうございました。
奈良岡先生ありがとうございました。中山先生とはまた違った濃さがありますね。東海大学高度救命救急センターの先生方、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。ドクヘリに乗って仕事したい皆様いかがですか?青森県立中央病院での研修でもドクヘリ乗れますが、いかんせん冬場はなかなか飛べないんですよね。青森の真冬の期間に東海大学高度救命救急センターで研修とか!いいなあ私も行ってみたいです。興味ありましたら弘前の!救命センターのスタッフまで気軽にお声掛け下さい。おまちしております。