2025年3月20日から21日にかけて、韓国ソウルにある韓国原子力医学院(KIRAMS)において、弘前大学との共同セミナーが開催されました。このセミナーは、両国の被ばく医療体制や物理・生物学的線量評価などの最新知見を共有し、国際的な連携を強化することを目的としています。今年度は新たにKIRAMSセンター長に就任された Minsu Cho先生のもとで実施されました。
参加者
被ばく医療連携推進機構からは柏倉機構長、細田教授、大森准教授、嵯峨先生が、当センターからは、花田教授、奈良岡先生、三上看護師が参加し、総勢7名でセミナーに臨みました。

韓国原子力医学院(KIRAMS)について
韓国原子力医学院(KIRAMS)は、放射線医学及び原子力災害対応に関する研究・教育・訓練を行う韓国の主要な機関です。特に放射線・原子力災害時の医療対応や線量評価技術の開発において世界的な評価を受けています。KIRAMSはモバイル放射線ラボやVR/ARバーチャルシミュレーション技術を活用し、教育・訓練の効率化を図っています。また、生物学的線量評価や放射線障害治療の研究にも注力しており、革新的な技術開発を進めています。


セミナー内容
今回のセミナーでは以下のテーマが取り上げられました:
弘前大学からの発表
- 弘前大学被ばく医療連携推進機構の概要
- 福島県浪江町での住民帰還に伴う線量評価
- 放射線被ばく医療訓練と人材育成への提言
- 放射線被ばく医療トレーニングとイノベーション
- IMKモデルに基づく放射線感受性の不均一性を考慮したがん細胞生存率および腫瘍制御確率の予測モデル
KIRAMSからの発表
- 韓国線量評価ネットワーク(KREDOS)の紹介と最近の活動
- 原子力・放射線災害時における甲状腺内部被ばく対策
- 生物学的線量測定におけるイメージングフローサイトメトリー技術の応用
- 放射線救急医学のためのバーチャルリアリティ/拡張現実トレーニングシミュレータ

さらに、セミナー期間中にはJin Kyung Lee院長との会談が行われ、今後の連携強化について議論が交わされました。

今後の展望
次年度は弘前大学で共同セミナーを開催する予定であり、さらなる連携強化が期待されています。今回のセミナーで共有された知識や技術は、放射線・原子力災害時の医療対応能力向上に寄与するとともに、両国間の協力関係をより深めるものとなるでしょう。
弘前大学高度救命救急センターは今後も国際的な連携を通じて被ばく医療体制の向上を目指してまいります。
