働き方・インタビュー

台灣研修記(by 長谷川先生)

 北里大学研修記東海大学見学記に続きまして、長谷川先生による台湾研修記をお送りいたします。長谷川先生は2024/2/17~2/22まで、台湾は台北の「林口長庚紀念醫院」外傷センターへ見学に行ってきました。

 同院への見学のきっかけは、2023年4月に弘前大学保健学研究科と共同で、台湾の被ばく医療責任病院である長庚医療財団法人 基隆長庚紀念醫院 基隆長庚災難医学科 主治医師 Kuo Ching I先生と、林口長庚災難医学科 主任 Lin Chin Chuan先生をお招きして、来学記念台日セミナーを開催したことに遡ります。このご縁で今回の見学が実現しました。では長谷川先生よろしくお願いいたします!


林口長庚紀念醫院は同院ホームページによると、病床 3453床,医師数 1769名,医療従事者数 6710名を誇る大規模病院です。台北駅と台湾桃園国際空港を結ぶ台北MRT(通称・台北地下鉄)のほぼ中間にあり、病院直結の駅があり、特急も停車します。

空港直結!
A8 長庚病院はどこでしょう?ヒント左端

今回は外傷センターと、神経集中治療に興味があったため脳神経外科ICUを見学してきました!

救急外来の玄関:多くの救急車が患者を搬送してきています

玄関の脇には除染が必要な患者を搬入する部屋も確保されていました

玄関脇の除染室 漢字繁字体ですが読めちゃいますね

救急患者はCATSに従い、看護師によりトリアージされます

トリアージの結果で、患者は各診療エリアに分けられます

第一、第二、第三観察室
外傷センター

 センターの概要は主任である康先生が説明してくださいました。

外傷センターは、日本でいう腹部外傷外科、形成外科、整形外科、脳神経外科、放射線診療科で構成されているそうです

センター内でほとんどの急性期外傷の診療ができる仕組みになっていました。

外傷外来患者は平均70人/日(軽症も含む)で台湾でも特に多いそうです

近くにfree highwayがあること、台湾では原付バイクを利用している方が圧倒的に多いことなどから外傷は多いようです。確かに、街中を多くの原付バイクを見かけました。かなりのスピードで走っていて恐怖を感じました

バイク多い…

 外傷センターのICUの中も見学させていただきましたが、患者さんも写っていたため写真は割愛いたします。ちなみに患者2人に対し看護師1人配置で、当センターと同じでした。フロア内には緊急開胸開腹術などを行う手術室も整備されていました。

手術室

X線、CT、MRIもすぐ撮影できるような配置でした

施設の見学が終わった後、同センターの若手の先生から、自身がされているAIの研究の説明がありました。単純Xpで見逃されやすい骨折をAIで検出させるといった主旨のものでした。


編集部注:コチラの論文ですね、OPENでCreative Commons 4.0 Licenceでしたので掲載させていただきます。

編集部注:AIの研究ということで、コチラもAI SciSpaceで要約させていただきました。この論文は、骨盤X線画像上の外傷関連放射線学的所見を検出するために設計された深層学習アルゴリズム、PelviXNetについて紹介しています。5,204枚の骨盤X線を用いて弱い監督付きポイントアノテーションで開発されたPelviXNetは、臨床集団テストセット(1,888枚のX線)でAUROCが0.973、AUPRCが0.963を達成しました。放射線科医・整形外科医と比較して、骨盤および股関節骨折の検出において同等の性能を示しました。研究は、トレーニングにおける位置監督信号の組み込みが、医療画像分析の性能を大幅に向上させる可能性を示唆しています。この論文は、外傷ケアにおける診断精度を向上させる深層学習の可能性を強調し、骨盤X線画像上の広範囲の外傷関連損傷を検出するためのスケーラブルで効率的なツールを提供します。

S/N論文タイトル関連する洞察
1"骨盤X線画像上の外傷を検出するためのスケーラブルな医師レベルの深層学習アルゴリズム"5,204枚の骨盤X線を用いて開発されたPelviXNetは、AUROCが0.973、AUPRCが0.963を達成し、骨盤および股関節骨折の検出において放射線科医・整形外科医と比較して同等の性能を示しました。
要約の要約

神経集中治療の現状を学びたいと思い、脳神経外科ICUも見学させていただきました!

ICPモニターや経頭蓋ドップラーにて神経集中管理を行っていました

持続脳波モニターはやっていないとのことでした。最終日には災害医療について救急科の若手の先生とdiscussionを行い、台湾の先生からは2023年12月に日本で行われたPWJ(Peace Wings Japan)との災害訓練の報告がありました。

私からは能登半島地震にDMATとして派遣された際の状況をプレゼンし、活発な意見交換がなされました。最後に、見学中にお世話になった林先生に、先生の専門である中毒について講義を受けました。医療事情や病院の規模が異なり、日常の診療に即還元ということにはなりませんが、新しい知見を受けることができ有意義な研修でした。


長谷川先生ありがとうございました!長庚病院の規模の大きさもさることながら、台湾全体として医療資源の集中、集約化、DX推進による医療資源の有効活用などなど日本のマイナンバーカードのゴタゴタに比べてIT含めシステムとしては10年分位先を行ってるような気がします。長谷川先生が持ち帰ったノウハウが少しずつ現場で反映されることを楽しみにしております。林先生をはじめ長庚病院の先生方・スタッフの皆様、誠にありがとうございました!

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