2024年4月12日現在の業績につき更新いたしました→コチラ。新たにpublishされた杉山先生の論文を紹介いたします。杉山先生 acceptおめでとうございます!
この研究は、偶発的低体温症(AH)における復温療法に関する多施設前向き研究の二次分析です。本研究の要点は以下の通りです
- 研究目的:復温療法が良好な予後をもたらすか二次分析を行う
- 結果:
- 特定の復温療法が28日間の生存率の改善と関連していることは見られない
- 復温方法の選択よりも症例の年齢・日常生活動作(ADL)および重症度の方が予後に大きく影響する
- 研究方法:
- ICE-CRASH研究のデータを使用
- 2019年12月1日から2022年3月31日の間に三次ケア病院36施設へ運ばれた、深部体温が32℃以下の18歳以上の症例を分析
- 対象者:499人中371人が条件を充足、年齢中央値は81歳、50.9%が男性、初期体温中央値は28.8℃
- 結果:
- 年齢(オッズ比[OR]: 0.97、95%信頼区間[CI]: 0.94-1.00)およびSOFAスコア(OR:0.73、95%CI:0.67-0.81)は生存率の低下と関連
- ADL自立度(OR:2.31、95%CI:1.15-4.63)は生存率の上昇と関連
- 温浴は復温速度上昇と関連するが、28日の生存率の改善とは関連せず
- 結論:この分析結果から、偶発的低体温症における復温療法よりも、患者の年齢、ADLの独立性、および状態の重症度などの背景要因が予後により大きく寄与することが示されました。AH患者に対する最も適切な復温療法についてはさらなる研究が必要です。