広報・インタビュー

「救急災害・総合診療医学講座」の設置にあたって

 医学部ウォーカー第105号の1面に当講座 花田教授の談話が掲載されました。以下全文です。

 本年度四月から総合診療医学講座と救急・災害医学講座が統合して、救急災害・総合診療医学講座となりました。プライマリケア学会では、

「総合診療専門医は、患者の特定臓器に着目するのではなく、地域に住むあらゆる年齢、性別の患者の健康問題に向き合って治療を行います。」と提示しています。臓器や年齢、性別にこだわらない診療はまさに地域医療の目指す姿であると思います。

 以前、第一第二第三内科、第一第二外科と別れていた当大学の外科内科もその後臓器別診療となり、内科には神経、血液、腫瘍、とさらに細分化した科も設けられ、より専門性を求めた形となりました。専門医制度が見直されるにあたり、臓器・年齢・性別にこだわらない総合診療というあらたな専門医が逆に求められることになり、専門医機構直属の専門医となったわけです。

 これまでは開業された先生方が多くを担ってきたこのような分野の医療ですが、高齢化、人口減少、人口分布の都市集中による地方の過疎化が進む現代では、総合診療専門医のニーズはより高くなっていると思います。総合診療医は緻密に診察、診療を行う必要性もあり、その一般的な臨床推論や診療手技はより秀でたものがあります。そういったことから医学教育や研修医制度においても主要な役割を担ってきました。臨床面では大学病院としての専門性の高い総合診療すなわち、他科(多科)で診断・診療しきれない患者の診療を担っています。専門医プログラムは県内どのような施設でも研修できるように、多くの施設と連携をとっております。より専門的な病院総合診療医から地域に根差す総合診療までを担える内容となっています。

救急診療は日本では重症交通外傷診療から発達したこともあり、三次救急を担う救命センターが中心になって発達してきました。一方ですべての患者を受け入れる北米型のER型も多く取り入れられるようになっています。地方では三次救急に十分に対応できる一方で、一次二次にも十分に対応できることも重要です。

 休日夜間診療を担う存在であり、その診療は総合診療とオーバーラップするものと思います。総合診療医も地域で担ぎ込まれる患者の中には、脳卒中や大血管障害の患者も紛れ込みます。救急と総合診療は決して線が引ける領域ではないと思っております。その一方で総合診療医、救急医が持っているいろいろな能力、専門性を生かせるような部門になれるよう皆様からの応援を頂きながら、精進していきたいと思っております。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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