夏休みケガしないで!ケガしたら水道水でたっぷり洗浄を!
前例のない破傷風トキソイド不足
2025年7月9日から「沈降破傷風トキソイド(生研)」の出荷が全国一斉に停止されました。これは製造工程の適格性の再検証にさらなる時間を要することが理由で、すべての医療機関で供給が途絶えています13。
この事態を受け、日本救急医学会・日本外傷学会は声明を発し「救急・外傷診療への重大な影響」を警告。緊急対応として創部洗浄とデブリドマンの徹底を強く求めています45。
なぜ「必須症例の絞り込み」が重要なのか?
1. ワクチンはもはや潤沢な資源ではない
- 限られた在庫は、本当に必要な患者へのみ投与する必要があります。
- 2回目以降や予防的追加接種の延期・中止も全国的に推奨されています8。
2. 絶対的適応となる「必須症例」を見極める
- 免疫歴がなく、重度ないし汚染された外傷(深い刺傷や農作業・土壌暴露を伴う創など)は投与対象。
- 適応例の厳選が不可欠となるため、現場では患者の既往歴・直近のワクチン歴・創部の状態を正確に評価する力が求められます910。
破傷風トキソイド絶対適応例の判断ポイント
状況 | 絶対適応 | コメント |
---|---|---|
免疫歴不明、重度・汚染外傷 | 〇 | 迷わず優先して投与 |
免疫不十分(最終接種10年以上) | △(慎重判断) | 他ハイリスク所見あれば検討 |
軽微な清潔創 | × | 洗浄・デブリドマンで対応可能 |
ワクチン追加接種目的のみ | × | 供給回復まで延期・中止 |
怪我した時の初期対応 ― ワクチンのかわりに最重要となる手技
- まず創部を速やかに水道水で十分に洗い流す
- 汚染創や刺創の場合はデブリドマンの徹底
- ワクチン投与対象かどうか、ワクチン歴と創のリスクを必ず確認
必ず知っておくべき注意事項
- 小児用混合ワクチン(DPT、DT)は外傷時は保険適応外(そもそも力価も低い)。単独破傷風トキソイドが唯一の保険適応ですが、現在は入手不可9。
- 代替ワクチン(Tdap等)も一般外来での在庫が限られ、必ず運用ガイドラインを確認すること12。
現在私たちにできること
- 夏休みを前に「ケガ予防」の教育啓発を徹底
- 必須症例への「優先投与」と全例での洗浄・デブリドマンの徹底
- 新たな情報(供給再開・代替手段)の最新キャッチアップ
いま一度、創部洗浄とデブリドマンを現場で実践し、リソースを守る意識を医療従事者全員が共有しましょう。
- https://www.jaam.jp/info/2025/files/20250711.pdf
- http://san-ai-group.org/news/details/366
- https://jsem.me/news/post_83.html
- https://www.jast-hp.org/pdf/20250714.pdf
- https://www.iiyama.jrc.or.jp/news/458/
- https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/tetanus/
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/20/3/20_355/_pdf
- https://e-clinic.gr.jp/news/4623/
- https://www.koga.jrc.or.jp/news_patient/20250716toxoid/
- https://www.shodahospital.jp/notice/p006626/
- https://sakuhp.or.jp/news/20250717.html
- https://www.jaam.jp/info/2025/info-20250711.html
- https://healthcare-sccre.org/?p=2028
- https://www.kawasaki-kyodo.jp/topics/20250718tokisoido.html
- https://www.shiseikai-daini-hosp.jp/to-patients/3735/
- https://www.nogihosp.or.jp/nogi-hospital/news/3205.html