
本日は杉山先生のインタビューです!先生、本日はお忙しいところありがとうございます!

杉山佳奈です!よろしくお願いします
よろしくお願いいたします!本日は、医学生や研修医の皆さんに、先生のキャリアや救急医療の魅力についてお話を伺えればと思います。まず、先生のご出身と学生時代について教えていただけますでしょうか?


青森県三沢市出身で、八戸高校、山形大学を卒業しました。学生時代はバレーボール部に所属していましたが、全学でやっていたので医学部の知り合いはほとんどいないんです
あーなるほど。全学だと東医体には出ませんもんね


はい、その代わり、弘前大学の職員の方や地域のスポーツ指導員など、バレーボールつながりでお世話になった方と再会したり、一緒に働く機会があり、とても嬉しく思っています
良かったです!現在、弘前市にお住まいとのことですが、ご家族は?


はい、弘前市内で公務員の夫と、11歳、9歳、7歳の娘3人と暮らしています
お子さん3人の子育てをしながらの医師のお仕事、本当に頭が下がります。医師になられてからはどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?


2010年に医師になり、最初は健生病院で臨床研修を始めました。学生の頃は産婦人科に興味があったのですが、1年目の外科研修で担当した劇症型A群溶連菌の症例をきっかけに集中治療に興味を持ち、集中治療の奥深さとやりがいを感じるようになりました
劇症型A群溶連菌感染症の症例が集中治療に進むきっかけになったのですね


そうなんです。ただ、集中治療はサブスペシャリティ領域となるので、基本領域の専門医として救急か麻酔で悩んだ挙句、当時健生病院で取得可能だった救急専門医を目指すことにしました。同院救急集中治療部に所属し、HCU病棟を主軸に、救急外来や麻酔業務にも携わっていました
そして、専攻医になられてから大きなライフイベントが!


はい、専攻医2年目で第1子を出産し、計3回の産休・育休を取得しました。この時期は正直専門医どころではなく、毎日保育園に送り届け、出勤することで精一杯でした。子ども3人が立て続けに胃腸炎、インフルに罹患したときは控えめに言って地獄でしたね(笑
専門医の取得もその影響があったのでしょうか?


専門医取得に必要な症例はほぼ満たしていたのですが、産休・育休で勤務期間が足りなかったため専攻医8年目で救急専門医を取得しました。周囲の皆様の理解があって、時間外を免除していただいたり、チームの一員としてやりがいをもって働けたお陰で、救急医を続けてこれたと思っています
その後、キャリアの転機はありましたか?


ある程度診療のマネジメントができるようになって三次救急も勉強したいと思うようになり、青森県立中央病院や当院で研修させていただきました。高度医療、病院前診療、他院との連携などを通じて、自分の診療により深みが出たと思っています。さらに、アウトプットの修練も必要だと思い、専攻医10年以上経ってから大学院に入学しました。昨年、無事大学院を卒業し、今年は集中治療専門医の取得を目指しています
救急専門医だけでなく、集中治療専門医も目指されているのですね。先生の専門医としての資格について教えていただけますでしょうか?


はい、救急専門医、内科認定医、急性血液浄化認定指導者、ICLSディレクター、JMECCインストラクター、JMELSインストラクター、Infection Control Doctorの資格を持っています
多くの資格をお持ちでいらっしゃいますね!日々のスケジュールはどのような感じですか?


朝は6時20分に起きて、6時50分に朝食。7時30分には子どもたちが登校し、私は8時頃に出勤します。18時頃にお迎えに行って帰宅し、19時頃に夕食。21時頃に子どもたちが就寝し、そこから家事をして24時半頃に就寝という流れです
家事も大変かと思いますが、何か工夫されていることはありますか?


食洗機やロボット掃除機、ドラム式洗濯機などの家電をフル活用して家事を効率化しています
なるほど!物理で殴るですね!週間スケジュールも教えていただけますか?


昨年9月までは集中治療専門医取得のため、麻酔科ICUで勤務していました。現在は当センター勤務で朝カンファレンス、回診、病棟・外来業務、昼食、夕カンファレンスという流れです。金曜日は外勤、土日は休みか講習会です。金曜日はつがる総合病院(二次救急)の救急外来で勤務しており、月に2コマ程度、金曜日か土曜日に当直に入っています。土日は月に0~1回、ICLSコースなどの指導を行っています。リフレッシュ休暇も取得していますし、土日は子どもたちの行事があることもあります

救急医の魅力について先生のお考えを伺えますでしょうか


この地域は救急医が少ないので、身近にロールモデルが少なく、『救急』というと、当直をひたすら頑張る科、もしくはテレビドラマで見る派手な手技を行う科というイメージがあるかもしれません。否定はしませんが、私は、救急医は『臓器横断的な視野をもち、緊急性の判断と初期治療に長けた専門家』だと思っています
某コード・ブルーや某東京MERとは違うと


ただひたすら患者を受けるだけではなく、この地域や院内の医療資源、患者の状態を加味し、受け入れ場所も含めて何がベストか判断します。初期治療や全身管理は当直をやっていれば身につくと思うかもしれませんが、当たり前のことを当たり前に確実に行うって、実は難しくて専門性の高いことだと思っています
思ってたよりスキマ商売の地味な仕事だったりしますね


私が考える救急の魅力は、①他科とのコラボレーション、②多様性です。救急科が初期治療や全身管理をしつつ、各科に専門治療をお願いする場面が多々あります。それを、最後まで治療完結できない、と捉えるか、各科の考え方や治療方針も学ぶことができる、と捉えるか。私は各科や他職種とディスカッションしながら、皆がベストを尽くせるようにマネジメントすることにやりがいを感じますし、患者がハッピーになると信じています
「救急とは?」っていう本質的なお話ですね


救急は、病院前診療、集中治療、外傷外科、災害医療など様々な切り口があります。すべて頑張るのも素晴らしいことだと思いますが、ライフステージに応じて少しずつシフトしていくのもアリだと思っています。
はぇ〜何も考えてなかったなぁ


今は子どもがまだ小さいので災害医療活動は難しいですが、病院前診療の経験を少しずつ増やしていけたらと思っています。救急科は各科の専門医を取得されているdouble board 専門医の先生もいますし、私のように救急科専門医から集中治療専門医を目指すこともでき、キャリアは多様です。内科系、外科系に関わらず、自分の強みを生かすことができると思います
多くの魅力があるのですね!

最後に、医学生や研修医の皆さんにメッセージをお願いいたします


救急集中治療を主軸に、ライフステージに応じて、自分ができること、やりたいこと、今の自分に必要なことを考えながらやってきました。二次救急や麻酔など、これまで得た経験が今も活きていると感じています。何かを始めるのに遅すぎることはないと思いますし、これからも地に足をつけながら前進していきたいと思います。子どもが小さく業務を制限していた頃は(今も時間外は制限していますが)、焦りがなかったと言えば嘘になりますが、ほぼフルで育休を取得し、家庭優先でやってきたことに全く後悔はありません。医師人生は長いですが、子どもはあっという間に大きくなりますからね!救急に少しでも興味を持って頂ければうれしいです
杉山先生、本日は貴重なお話をありがとうございました!


ありがとうございました!